fileNo.76
リング2<リング1999.2.19(VIDEO)>
1999.2.20
監督:中田秀夫
脚本:高橋 洋
出演:中谷美紀,松嶋菜々子,真田広之

昨年公開された和製ホラー映画「リング」が話題になりましたが,全く興味もありませんでした。しかし,当時の評論や,今回の「リング2」の公開に合わせてTVで「リング」が放映されて,周りの人々が「そうとう恐い」とあまりに言うので観る気になりました。

TV「リング」さえも見なかった私は早速レンタル屋に行き,とりあえず「リング」のお勉強から始めました。と言うわけで当然「らせん」も見てないし,原作の3部作も読んでいないので,お話の繋がりがどうだなんて解るはずもありませんので,今回は「リング」と「リング2」だけのお話をしてみます。

「リング」。確かによく出来てます。音響効果も○。だけど,随分昔に飯田譲治版「リング」を見ていたせいか,そこ怖さが半減,いや1/3位にしか思えなかった。飯田版には独特の空気感があり,もっと奥が深そうで人間の業なんてものが強烈に描いてあったように記憶している。しかし,今回のやつは,その飯田版から「一番イイ」とこを省いたような感じがしてならない。

特に私が気に入っていたのは貞子に纏わる呪われたエピソードであったりしたので,なんだかもの足りなかった。そこにあるのは,”こけおどし”(単なるコケオドシではなく,巧妙な編集による恐怖演出であるの流石だが)やクローネンバーグの「ビデオドローム」や「デットゾーン」のパクリである。

それより以前の問題で,今更「ビデオ」ってのもね。原作や飯田版が作られた当時ならともかく,なんで今「ビデオ」なのか。その対象は,今ではもっと他のメディアであるべきなんじゃないかな。ましてや,お話自体が”女子高生の恐いウワサ話”の色合いが強いのにだ。呪われてんだったら「お払い」しろって。

なぜ,TV用として作られた飯田版を劇場版が超えられなかったか。それは,今回のやつは”ウワサ話”のなぞ解きをしてやるのに精一杯だったから。それに,”どうだ恐いだろ”って作りに徹したからだろう。前作が持っていた”呪われたビデオ”って陳腐なお話だけでない,もっと違ったその裏にあるドラマを,ドラマとして成立させうるだけの力が今回にはなかった事だ。

次「リング2」。またまたこれは「リング」からいいとこを省いたような作り。私はてっきり,飯田版が提示していた貞子のエピソード関係の方で展開していくものとばかり思っていたので,おもいっきり肩透かしをカウンターで食らってしまった。あきらかにスケールダウン。

まず,高野舞(演じる中谷美紀は個人的には好きである。TVの「沙粧妙子」での演技は凄かった)が何をどうしたいのかが全く解らない。それに,前作のいいとこである”なぞ解き”を能動的にやらないこと。いつも受動的で行き当たりバッタリなのだ。全てなぞ解きが用意されてあって,その展開も”超能力”って便利なもんでカタが付いちゃう。それに輪をかけてナゾ解きの半分をやってくれる変な精神科医を登場させるし。困ったもんだ。

なぜ,子供を守る必要があるのだ。単なる気まぐれか”母性本能”が災いして巻き込まれてしまったように見える。彼女の動機付けの弱さがこの映画の弱さなのである。少なくとも,高山竜司との関係が十分に描かれていたのなら,こんな映画には成っていないハズである。

また,本線とは別に進む”呪われたビデオ”の方はどう始末を付けるんだ。深田恭子もかわいそうだ,あれじゃ。けど,「リング3」なんてもんを作るなよな,今後。もう見ねーぞ。
 
 

shima-s@fka.att.ne.jp

 
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