fileNo.72
ヴァンパイア
1999.2.6
監督・音楽:ジョン・カーペンター
脚本:ドン・ジャコビー
出演:ジェームス・ウッズ,ダニエル・ボールドウィン,シェリル・リー

ジョン・カーペンターです。久しぶりです。「エスケイプ・フロム・LA」以来です。カーペンター物は大好きなんですが,観るチャンスを逃しがちなんで,チョット遠くの劇場にかかっていたのにも関わらず行ってきました。

始まるやいなや,例のごとくカーペンター節が「ベン,ベン・・」と流れます。もう,これだけでOKです。当然,John Carpenter'sのタイトルです。思わずニヤケてしまいます。

オープニング。ジェームス・ウッズ演じる”始末人”がチームを率いて,吸血鬼の巣に奇襲をかけます。男達は無言で武装し建物の前に集まり,体制を整えてからいざ突入!。カッチョいいです。でも,鍵がかかっています。ここで,無理矢理ドアを壊しません。丁寧にドアに穴を開けます。そこから,中を覗き込み,何をするのかと思えば,手を入れて慌てて内鍵を開けたのです。ちょっとカッチョ悪いです。

でも,大丈夫。その後は,ゾンビみたいな吸血鬼達をバンバン撃ち倒し,杭で刺しまくり,挙げ句の果てはボーガンで串刺しにして,ワイヤーで屋外に引き摺りだします。奇声を発しながら燃え尽きる吸血鬼。太陽の光は,やはり堪えるみたいです。作戦が終了し,吸血鬼の頭骸骨でマッチを擦り,チョットいっぷく。カッチョいいのか,悪いのか解りません。

以上の非情に残虐な行為は,通常の吸血鬼物ではあまり見られない白い雲と紺碧の空の下で展開します。妙に穏やかです。この,ほのぼのとした空気はなんでしょう?。でも,コメディじゃないんです。正真正銘マジです。大の大人が寄って集って,殺戮ゲームを楽しんでます。子供達が銀玉鉄砲で遊ぶように。ですから,真剣で,時にはカッチョいいのです。

その後も,この感覚で最後まで突っ走ります。カーペンターは「どうだカッチョいいだろう」と言って聞きませんが,そもそもカッチョよさとダサさは非情に似ていて隣同士なんで,もうかなりギリギリのセンです。ウッズの無理な男っぽさや,グリフィスのカマっぽさにも泣けて来ます。グリフィス演じるバンパイヤの親玉が,列車に乗っかってるシーンなんかは哀愁さえ感じました。

男達の多少下品で荒っぽさや男臭さ,ストーリーの展開,音楽はいかにもウエスタンです。
ラストの刑務所での攻防なんかは,それの典型的。

このスタンスを従来から貫き通しているカーペンター,私は大好きです。が,一緒に観ている他の観客の人たちのことが心配です。劇場を出たあと,真剣にこの映画の事を論議なんかしてもらっては困ります。ボロなんて山ほどあるんですが,カーペンター映画はそんな議論する次元のものではないのです。もっと,なんというか・・・。イイんです。

shima-s@fka.att.ne.jp

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送