file No.33
タイタニック
1998.2.3
監督、脚本:ジェームズ・キャメロン 
製作:ジェームズ・キャメロン,ジョン・ランドー 
撮影:ラッセル・カーペンター 
特殊効果:デジタル・ドメイン 
出演:レオナルド・ディカプリオ,ケイト・ウィンストン,ビリー・ゼーン,キャシー・ベイツ

「まいったな」。この作品を見ながら、何度そう思ったことでしょう。とにかく、色々な意味での「まいったな」です。話題の映画と云うことで期待もせずに?劇場へ足を運んだのですが、意外や意外良く出来ています。 

当然のことながらスペクタル物やパニック物は、とにかく大スクリーンで観るべきものです。製作費240億円の迫力です。3時間14分フルに楽しめます。 

監督はジェームズ・キャメロン。製作費が巨額になるにつれ作品レベルが低下しているのが気になりましたが、この作品に関しては違います。 

気合が入っています。なにしろ失敗すると20世紀FOXが潰れるどころか、「背任」か何かの罪で捕まってもおかしくない程の金を使っています。自ら設立した「デジタル・ドメイン」を率いて再現したスペクタルシーンは見事(特に水をつかったSFXは難しいのですが)です。 

既に、ゴールデン・グローブ賞も受賞しています。あの、スピルバーグを抑えての受賞。今年のオスカーをも射程距離にあります。 

この「タイタニック」の成功のポイントとして、3つ考えられます。 

まず、一点目。ありがちな「グランド・ホテル形式」で構成されていないこと。 
このテの作品では複数の人間模様を平行して描いて、物語りを進行させる手法がとられがちですが、若い男女の恋愛を縦軸として描くことで「芯」がしっかりしています。単純でストレートなのです。また、観る側は感情移入が簡単に出来き、途切れづらくなります。不必要な人間模様を見せられダレることは無いのです。 

二点目。主演の二人がイイ。ディプリオもケイト・ウィンストンも「なかなか」のもので、何しろお二人さん「華」があります。彼らが踊ったり駆け回るだけでも自然に笑みがこぼれます。この辺の盛り上げ方はキャメロン監督、爽やかでそつの無い描きかたをしています。正直驚きました。こんな軽やかな演出ができる人だったとは。 

そして、三点目。実物大のタイタニックを作った(本当かどうかは知りません)こと。 
力技です。「デジタル・ドメイン」のSFX技術をもってすれば、巨大客船の一つやふたつ「まるごとSFX」できるはず。それをやらなかったことです。見た目に分からないような部分でのSFXに力を注いでいます。 
この、実物大のタイタニックの迫力や大したものです。沈没のシーンなんてのは、あそこまでミニュチュアなんかじゃ再現できないでしょう。これだけで、観る価値はあります。勝ったも同然です。単純な「悲劇の恋愛物語」だけでは2時間ともたないところを、十分にカバーしています。 

しかし、何事にも「完璧」はありません。成功のポイントとして考えた「作品構成」ですが、弊害もあります。「芯」はしっかりしていますが、主人公以外の(フィアンセのにいちゃん等)人物像がちょっと薄いのです。個人的にはジャックの友達や「バンド」の人々(何を隠そう私は、ラスト近く沈没する中、演奏される音楽に泣いてしまったのだ)の描写がほしかった。 

何はともあれ、大変良く出来ています。あの「フォレスト・ガンプ」がオスカーを受賞するくらいですから、この作品がオスカーを獲る可能性もあるかもしれません。 
 

shima-s@fka.att.ne.jp
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