file No.40
「Uボート」
1998.3.8
監督:ヴォルフガング・ピーターゼン 
出演:ユルゲン・プロフノウ       

たまたま行ったビデオ屋で見つけました。ビデオ化されるとは聞いていたので探していましたが、見つからなかったものです。もう、借りるしかないでしょう。と、云うわけで「Uボート完全版」です。なんと、5時間13分。2本組でもギリギリです。1981年の公開当事は、たしか2時間とちょっと。実に2倍以上の上映時間。いったいどうなっているのやら。 

自宅で観るわけには行きません。5時間も見ている時間がないのです。なにしろ、子供(1歳9ケ月)がうるさいのです。かといって、夜みんなが寝静まった後に、なんていったら徹夜は必至。てな訳で友達んちにレッツゴーです。 

オープニング。あの心揺さぶられるようなタイトルバックのあと、いきなり公開版に無いシーンです。ひたすら重苦しい暗澹とした色調。この映画の全てを物語るにふさわしい映像です。その後は見覚えのある(とはいっても、17年も経過しているので殆ど忘れていたが)場面に新しく追加されたシーンが絡まる程度。長い。Uボート出港までは、相当かかりそうです。 

そして次の瞬間、スタッフロールがながれ始めた。えっ、もう終わりまだ1時間くらいじゃないの。事態が飲み込めません。そして、再開。そこで我々が見たものは!。第一話のダイジェストシーン。同じタイトルバック。なんだこれは。連続テレビドラマか。5夜連続NHK海外傑作ドラマ「Uボート」(製作、米独共同)かっての。 

どうやら、未公開シーンを付け加えてテレビ用に再編集したものらしいのです。1時間程度に分けられた話が全部で5話の構成のようです。 

見ているほうは、その度に流れを分断させられる感じがして物語りに入っていけません。Uボートが潜水するシーンや敵駆逐艦が真上を通過するシーンなんてのは、使いまわしです。トホホです。 

全く新しい戦闘シーンやエピソード(確かに青年とフランス女性との恋愛があるが)があるのかと期待していたのですが、拍子抜けです。5時間13分の内実質は4時間半あるかないか。追加された殆どがUボート内の乗り組み員の描写です。艦長のイメージが公開当事とはガラリとかわっていて、哲学的なことを 妙に喋るし説明的。 

全編見終わったあとでさすがに疲れましたが、良く考えてみると人間ドラマとして非常に深いなと思い直しました。 

どうやって撮影したのか不思議なくらいの艦内(異常に狭い)の移動撮影。見事な人物設定。鬼気迫る心理描写。どれも健在なのです。それが多少間延びしただけなのですが、作品の趣がガラリと違う。公開当事が娯楽要素が主に感じられた(そう思って中学生の私は観に行った記憶がある)のですが、実は製作意図は違う所に比重が置かれていたのだ。監督がドイツ出身のヴォルフガング・ピーターゼンなんだから当然かもしれない。 

公開当事も今回も非常に印象に残るシーンがある。それは、ジブラルタル海峡からの脱出の場面で九死に一生を得た乗り組み員達に、艦長が云う「すばらしい部下をもって誇りに思う」は観るものを感動させる。させるだけの描写が丹念に行われている。 

そのことが、ラストの悲惨さを強烈に浮彫りにしている。やるせなさが余韻としていつまでも残るのだ。 

shima-s@fka.att.ne.jp
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