fileNo.78
隣人は静かに笑う
1999.4.24
監督:マーク・ペリントン 
脚本:
出演:ジェフ・ブリッジス,ティム・ロビンス,ジョーン・キューザック 

もし,隣人がテロリストだったら・・。なんて非常に危険はお話であります。

オープニング,子供がフラフラ歩いています。熱病にでもかかっているようです。かなり,もうろうとしています。しだいにフラつく足元に鮮血がしたたり落ちてきます。何事でしょうか。そこへ,通りかかった大学教授のマイケル(ブリッジス)がその子供を助けますが,なんと子供の腕は丸焦げになっているのでした・・。この間の描写はかなり気合が入ってます。熱病に魘されるごときカメラワーク。マイケルが抱き上げた時の衝撃は,そのカメラワークで更に強烈に表現されています。

しかし,このことは以降のお話にはチットも生かされていません。マイケルが隣人オリバー(ロビンス)と知り合うキッカケに使われるダケなのです。もっと,この子の怪我には裏があるのでは・・と考えを巡らせていると話に乗り遅れちゃいます。

女房が元FBI捜査官でテロ対策作戦中に死んで,今では大学でテロリズムについて講義しているマイケルが,隣人はテロリストでは・・っと疑い出すプロットもちょっといい加減じゃないかな。偽名を使ってて,仕事の内容を偽ってようが,なんだってんだ。もっと,身近な違和感がほしいな。例えば,マイケルの息子をいきなり叱るとか,銃の扱いを教えるとか。そうすれば,親としては,普段温厚な隣人がどこかおかしいと気になり始める・・なんて具合に。

また,序盤の展開が遅すぎてモタつき気味なのも,困ったものだ。もっと,「ゆりかごを揺らす手」みたく,子供を奪われるんじゃないかとか言う恐怖と,テロ疑惑なんてのが輻湊して描かれていき,精神的に追いつめられて,周囲からも変人扱いされるくらいのジリジリとした心理的圧迫ないと,観客もマイケルへの感情移入がうまくできず話に乗れない。

ラストは「まさか!」なんて思ったりするのだが,これが,どの時点から計画されていたのか不思議に思う。結局,オリバーの息子は何だったのか。たまたま,息子を助けたマイケルが標的になっただけなのか,それともマイケルを使うことが目的で引っ越してきたのか。どちらとも確かに恐ろしい事ではあるが,マイケルの過去を知り尽くした上で,息子(必ずしも息子じゃなくてもイイが)を餌(怪我させたのもオリバー)に接近し,用意周到に計画されたテロであった方が,話の展開上しっくりくる。でも,そうではないような気が・・。

オリバー側の心理描写もほしかったな。それと,気の利いた伏線の一つでも張られていたのなら,もっと深みのあるものになっていたのではないか・・

この映画で一番恐かったのは,ジョーン・キューザックのあの微笑みだったのかもしれない。

shima-s@fka.att.ne.jp


 



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