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ジャッキー・ブラウン 1998.5.6 監督,脚本:クエンティン・タランテーノ 原作:エルモア・レナード 出演:パム・グリアー,サミエル・L・ジャクソン,ブリジット・フォンダ,ロバート・デ・ニーロ マイケル・キートン 久々のタラちゃんの新作です。「レザボア・ドックス」「パルプ・フィクション」共に強烈にカッコイイ作品でした。今回はどうでしょうか。期待は高鳴るばかりです。 前作2本(フォールームスは1話のみ)では,その映像センスと構成の上手さが抜群で,しかも音楽も決まっていた。 まず,見物はオープニング。バカ話の後,颯爽と街を歩く男達。バックには70年代ギターのサウンドで始まった「レザボア・・・」。「パルプ・・」では,安っぽいレストランで口論を始める男女が,突然銃を抜き出す。同時に始まるサーフ・ギターサウンド。タラちゃんの真骨頂はオープニング。 今回はどうか。パム・グリアー扮するスチュワーデスが颯爽と歩いてきます。それをひたすら横移動で追います。音楽はソウル系のようです。そしてタイトル。カッチョいい。思わずニヤニヤしてしまいます。が,何か違う気が・・。 お話はスチュワーデスでありながら,銃の密売金運び屋をやっているジャッキー・ブラウンが捜査官やライバル相手に危険を冒して大胆な駆け引きを繰り広げる,といった内容。 中盤までの特に序盤の導入部分は面白い。銃の密売人であるサミュエル・L・ジャクソンが、「映画の影響で銃を買う奴が多い。」「今,黒人達の間では香港映画の影響で45口径が人気で,しかも必ず2丁買って行く」などとデニーロ扮する刑務所仲間に説明をするくだりはタランティーノらしい。これから,盛り上って行くのか?と思ったのも束も間。期待しすぎだったのか,盛り上りに欠ける。 いったって普通の作り。しかも,長い。これでは,散々聞かされるソウル系ミュージックも耳に付き始める。あれぼどの構成力を見せ付けられたんだから,何かあるはず。と思っていたら何もない。大胆な裏切り行為。もう,意識してハズしているとしか思えない。 作品全体が沈んでいるようで,意気が感じられなし,出演している俳優陣も若くはない。いわば,枯れた感じのする人がメインにいるためだろう。デ・ニーロもやたら普通。そこいらのオッサンを「見事」演じ切っているのだ。それで,重厚かといえば,そうでもない。どうなってるんだ。 タラちゃんらしくない。と,言うほど研究して陶酔している訳でもない。それに,まだ2本しか撮っていない監督だから,スタイルがどうこうでもないかもしれないが,今回の作品を見てある映画を思い出した。 それは,ブライアン・デ・パルマの「ボディ・ダブル」や「殺しのドレス」である。仮釈放した仲間を殺すシーンとショッピングモールでの一連のシーン。そのうえ,360回転パンや必要以上の長廻し,果てはスプリットスクリーンまで使っている。ある種影響を受けたのかもしれないし,デ・パルマが影響を受けた時代の映画に,たまたまタラちゃんも共感していただけなのかもしれない。(偶然だが二人はトラボルタを使って代表作を撮っている) 見当違いかもしれないと思ってたんですが,見終わった後,パンフレットのインタビュー記事の中に尊敬する監督として,デ・パルマの名前があったことからすると「当たらずも遠からず」ってとこかな。
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