file No57
L.A.コンフィデンシャル
1998.8.9
監督:カーティス・ハンソン 
原作:ジェイムズ・エルロイ 
出演:ケビン・スペイシー,ダニー・デビート,キム・ベイシンガー,ラッセル・クロウ
ガイ・ピアーズ

やっと来てきました、「L.A.コンフィデンシャル」。上映回数が大幅に削られていたんで、参りました。こんな、映画 よりアンドロなんとかとかポケットなんとかの方が客が入るんでしょうね。ましてや、「タイタニック」までやってるんでなおさらです。上映の時期が大幅に遅 れたそうですが分かるような気がします。如何にも地味ですからね。色々な賞を取ったんで慌てて上映したんでしょう。お蔵入り寸前だったと聞きました。

さて、映画の方なんですが結果から言うとチョット期待外れでした。さぞかし、凄い映画な のかと思っていましたが・・・・。

まず、話が難解なんです。難解なのは良いんですが、チョットすっきりしない映画でした。 「犯人は誰か?」と思いを巡らしてしまうと、逆にこの映画は面白さが半減してしまうのです。それ以外の部分が面白い。それ以外といっても、なぞ解きに絡ま ないところなんで、どっちかを追うと片手落ちになってしまうきらいがあるのです。一番いいのは原作を読んで観るか、二回映画を観るかすれば、この映画の面 白さが分かるのではないだろうか。

難解になった理由は、人物描写と脚本のミスリードにあると思う。

ラッセル・クロウ演じるバド・ホワイトは幼児期に陰惨な体験をしていて、それが原因で異 常なまでに暴力的な刑事の設定となっているが、この映画を観ただけでは、さほど必要ないんではないかと思われる。原作ではどうか知らないが、この設定のた めの描写がもっと軽いものだったら・・・と思う。

脚本のミスリード(これは多分ねらいなんだろうが)に関しては、ガイ・ピアーズ演じるエ ド・エクスリーとケビン・スペイシー演じるジャック・ビンセンズの設定で発生している。とちらも、どれが本当の姿なのか分かりづらい。

エドが犯人は別にいることを知ったときの葛藤の描写が不十分すぎるし、「ロロ・トマシ」 に係わるところも弱い気がする。確かにエドから「ロロ・トマシ」の話を聞いてジャックが動き出す場面に無理はないが、映画的興奮に欠ける。

結局、この3人の一人ひとりの描写が濃厚すぎるために難解になったのだろう。エドのエピ ソードを中心として、残り2人のエピソードが脇をかためるくらいがスッキリして良いと思う。そうすれば「なぞ解き」もまた、面白く観れたのではないだろう か。逆に「なぞ解き」を簡潔にしてしまう方法もあると思う。

それに、当時のアメリカの状況や背景となっているハリウッドの裏側に関して少しでも知っ ていたなら、もっと違う楽しみ方が出来たのではないかと思う(アメリカで受けたのはこの辺の要素が強いのでは)。

こんな具合だから、映画としては濃厚なんですがスッキリしなし、2本の映画を同時に観た ような感覚が残る。

確かに、これだけの物語を2時間18分で描くことはスゴイと思う。でも・・・・。

監督、脚本はカーティス・ハンソン。この監督は「ゆりかごを揺らす手」や「激流」なんか を撮っている人です。本当は小気味良い小作のほうが上手いんじゃないのかな。
 

shima-s@fka.att.ne.jp
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