file No.03
ラストマン・スタンディング
1997.9.23
原案:黒沢 明、菊島隆三     
監督、脚本:ウォルター・ヒル     
出演:ブルース・ウィリス,クリストファー・ウォーケン,ブルース・ダーン      

全てにおいて「無い」映画である。どうしたものか。言わずと知れた黒沢明の「用心棒」のリメイクなのだが、「用心棒」では無い。ただの「好色暴力オヤジ」である。早撃ちではあるが女にも手が早い。
黒沢版の「情」も無く、ゼルジオ・レオーネ版の「熱」もない。ヒル特有の「男臭さ」も感じられず、原作のストーリーが淡々と消化されていくだけ。どうしたものか。

ハードボイルド路線を狙っているのは分かるが、ブルース・ウィリスの独白は何なのか。 第一多すぎる。喋りすぎである。毒もなければ知性もない。
ウィリスの表情からは何も読み取ることが出来ないのは仕方ないとして、細部に気をかけていないためハードボイルドの命である「物」の描写が貧弱で観る側に何も伝わらない。 三船敏郎やクリント・イーストウットからは人間らしさ、業が感じられたのだが、今回は何も無い。裸になる必要も無い。おまえの「タマ」などみたくもない。

クリストファー・ウォーケンもどうしたものか。あれじゃどうしようもない。だだの死人である。敵役がウォーケンなので「はまり役」だと考ていたが、精気なく魅力のかけらもない。

前作2作品と比べるのは止めにしよう。

では、見せ場の銃撃シーンはどうか。室内戦が大半であるためか非常に窮屈な感じがする。タランティーノばりの接近戦であるがスピード感にかけるし、ほとんどのシーンにおいて「引き」の映像がないため緊張感も感じられない。せっかくここまでクールに決めているのだから、馬鹿みたいにバンバン撃っちゃいけない。サム・ペキンパーの真似も必要ない。

結局、見せ場についてもこんなふうだから、もしこの映画がオリジナルなものであるとしても凡作であることに間違い。邦題が「・・・の用心棒」ではなかったのは幸いである。

もう一度本当の「用心棒」が観たくなってきた。そして、2作品の素晴らしさを再認識することにしょう。
       

shima-s@fka.att.ne.jp
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