file No60
レイン・メーカー
1998.10.4
監督・脚本・制作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
原作:ジョン・グリシャム
製作:マイケル・ダグラス,スティーブン・ルーサー,フレッド・ファーカス
出演:マット・デイモン,クレア・デーンズ,ジョン・ボイト,ダニー・グローバー
ダニー・デビート,マリー・ケイ・プレイス,ミッキー・ローク,ロイ・シャイダー

久々にコッポラの映画を見ました。法廷物と云うことで「重い」だろうなと思っていましたが,これは面白い。コッポラらしくない(語弊があるが)映画であると思う反面,さすがにコッポラだとも思ってしまう。間違いなく傑作でしょう。

コッポラ得意の「様式美」や,これ見よがしの思い入れたっぷりカットはあまり感じられず,非常に軽妙で小気味いい作品に仕上がっています。

それなりに格調は高いんですが,やはり軽妙なんです。これは,なんと言ってもキャスティングの妙です。豪華で,見事に生かしきっているのです。まるで,それぞれの俳優にあわせて書かれた脚本のようで,まったく違和感がありません。

特にダニー・デビートには恐れ入りました。この作品の成功の7割方はこの人の力でしょう。ガチガチに硬くなりがちなドラマを救っています。(もちろん,脚本の素晴らしさは言うまでもないが)
それに,マット・デイモン。彼もまた素晴らしい。本当にこんな人じゃないかと錯覚してしまいそうです。

ここで,注目したいのが,マット・デイモン演じる主人公ルーディの人物設定。実に魅力的です。正義への情熱を持ちながらも,一方では「暴力男」を射殺することさえも辞さない(やらなかったが,用意はしていたし,すべきだとも言っていた),弁護士としては相反する面を持ちあわせている男。このことはルーディのセリフの「弁護士の仕事より大切だった」に集約されているのだ。とおり一辺倒の正義感ではない,リアルさに共感してしまう。

法廷物としても人間ドラマとしても,傑作である本作は見ごたえ十分であったが,実のところ私はマリー・ケイ・ブレイス演じる母親の歪んだ泣き顔が暫く頭から離れなかったのである。
 

shima-s@fka.att.ne.jp


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