file No12
レオン(完全版)
(LEON)
1997.10.24      
監督、脚本:リュック・ベッソン      
音楽:エリック・セラ      
出演:ジャン・レノ,ナタリー・ポートマン,ゲイリー・オールドマン,ダニー・アイエロ

ハリウッド製フランス映画である。最初の劇場公開時に一度観ているが、今度は2時間13分の「完全版」である。「グラン・ブルー」同様エリック・セラの音楽がいい。

この作品は一言でいえば「おじさんの寓話」である。ハードな仕事をこなしている「おじさん」のもとに「小悪魔」がおとずれ翻弄し、やがて恋におちる。ばかかばかしいくらいのファンタジーである。
オリジナル版を観たときから思っていたことだが、この物語は現実から剥離している感じがする。
監督自身も真正面から物語りを成立させてはいない。冒頭の海から街へ、そしてリトルイタリーの店まで空撮で映し出される映像、階段に座るマチルダの投げ出された足元、「観葉植物」「紙パックのミルク」、レオンに抱きかかえられたマチルダの足元などいくつも「浮遊感」「現実からの離脱感」が描写されている。
      
また、マチルダが麻薬取締局に侵入するシーンなどはありえないことであり、ましてやレオンまでがまんまと侵入し射殺するシーンなどはあまりに非現実的である。(この一連のくだりに北野武の「3−4X10月」における空港のシーンを連想したのは私だけ?)

こんな今時はずかしい話を成立させるためには、ある種のリアリズムが必要である。そこで、ベッソン監督が用意したのは、レオンが使う「銃」や殺し屋としての振る舞い、 「銃声」、マチルダの生活環境、悪徳刑事の切れ具合などのリアルさであり、それがやや浮つき加減の物語の「おもし」になっている。

この作品は「昔むかし、あるところに・・」で始まる「おとぎ話」であるから、だれが観てもわかりやすく感情移入がしやすい作りに仕上がっているのだ。その傾向は「完全版」になってから更に強くなっている。二人の関係において隠されたものが無くなって、全く考えずに済むのである。(この二人の関係に宮崎駿の「カリオストロの城」のルパンとクラリスの関係を連想したのも私だけ?)

 ほとんどの映画において「完全版」等のバージョン作品はつまらなくなる(グランブルーは見事におもしろさが半減した。)傾向にある。この作品に関してはもともと「隠された魅力」「省略による深み」などなっかったのでドーデモ良いのだが、追加されたシーンが比較的短いシーン又はカットであったために「倦怠感」はさほど感じられなっかた。

だが、全く面白くなかった訳ではない。ナタリー・ポートマンはすばらしいし、むしろ好きな部類の作品であるが、前作「ニキータ」の方が数倍面白いと思うのは私だけか。
 

shima-s@fka.att.ne.jp
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