file No19
最後の戦い
1997.11.15
監督、脚本:リック・ベッソン
音楽:エリック・セラ
出演:ジャン・レノ                     

こんな作品も取れる監督であることを再確認した。確かに低予算で必ずしも完成度は高くはないが、その後頭角をあらわすだけの実力は伺える。 

「グラン・ブルー」「ニキータ」「レオン」と映像センスに溢れ、ドラマ性のある作品を見せた監督が、最新作「フィフス・エレメント」では精神分裂的な救いようのない作品を作り上げてしまった。その監督のデビュー作であるこの「最後の戦い」とはどんなものか、全く期待せずに観た。 

結果、「フィフス・エレメント」と対称的な作品で、ほっとした。 

無駄なシーンがない。金がないから見せ方に工夫があり、編集もそれをカバーしている。それに「セリフ」が一切ないために、ベッソン監督が最近陥っている「過剰セリフによる説明」病の症状が見られない。これでいいのだ。 

莫大な製作費(殆どが、ブルース・ウイリスの出演料や衣装代、FSXであったとしても)にものを言わせ「客をバカにしたような映画」を作ってはいけない。 

また、この作品から一連の作品を見たときに彼のコメディセンスが理解ができる。そして、それはシリアスドラマに対する考え方、あるいは映画そのものに対する考え方である。 

ジャン・レノ扮する男の無抵抗な女性を惨殺する「狂暴性」と「コミカル」な挙動は、完全に相対するものであり普通であれば物語は破綻している。しかし、トータルで観た場合にはこの描写がスパイスとなり、ある方向一辺倒な印象になるのを抑制している。 

作品が画一化されない側面を持っているのである。すべては「バランス」なのだ。「フィフス・・・」の失敗はここにある。 

それが、狙いであるならば、今までのものを求めた観客が悪い事になる。                  

shima-s@fka.att.ne.jp
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