file No18
未来は今
1997.11.11
監督、脚本:ジュエル・コーエン
製作:イーサン・コーエン
出演:ティム・ロビンス,ポール・ニューマン,ジェニファー・ジェイソン・リー

心暖まる物語と単純に言える作品ではない。   
うだつのあがらない男が会社幹部の策略によって社長に祭り上げられ、周囲の予想に反して成功を収める。一度は会社に裏切られ全てを失うが、またその地位を奪い返す。 

ま、ざっとこんな話なのだが、実際のところ男は何の取り柄も無いのである。彼が持っていたのは、たったアイデアにすぎない。全ては他の人間の力なのだ。ラストに語られる「模範的経営者」などには絶対になれない人間のはずである。このあたりがひっかかる。   

しかし、例によってコーエン兄弟による抜群の映像センスが随所に現れ、観るものはを引き込まれざるを得ない。そして、笑って観ていた自分に見終わって気づくのである。   

時代設定からして古き良き時代のハリウッド映画を彷彿とさせ、また確信犯的に狙いすました演出である。しかし、鼻につかない。そこには、当時のハリウッド映画への愛情が感じられるからであろう。それと同時に、その反面オーバーアクションによるデフォルメされたその演出は、現在のハリウッド映画への反感あるいは警鐘であるに他ならない。全てが笑い飛ばされていく。   

コーエン兄弟の一貫したテーマである「追いつめられた人間の滑稽さ」がこの作品にもあるが、逃げ場の無い重苦しさが充満していた「バートン・フィンク」よりも好感がもてた。   

その違いは視点にある。「バートン・・」が主人公である脚本家自身の当事者としての視点から描かれてるのに対し、今回はどこか上の方から見た第三者的視点で描かれている。その第三者(結局、ナレーションを努めた時の番人のおじさんだった。)に「やさしさ」が感じられるのだ。悲観的部分が薄く、笑いとばしている。   

冒頭の雪のシーンは素晴らしく奇麗である。そして、ラストにリンクすることにより一層印象にのこる仕掛けになってた。   
     

shima-s@fka.att.ne.jp
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