file No.22
激流
1997.12.7
監督:カーティス・ハンソン
脚本:デニス・オニール
出演:メリル・ストリープ,ケビン・ベーコン                      

非常にまじめな作品である。サスペンスとは名ばかりのハッタリ作品でお嘆きの人にはもってこいの映画だ。変なコケオドシや異常なまでの効果音でまくしたてるA級きどりのクズ作品とは違い好感がもてる。

物語は単純。川下りを楽しみに来た家族が凶悪強盗犯達の逃走計画にまきこまれる。元ガイドの主人公の女性がいかにして家族を危機から守るか。そんな話なのだが随所に張られた伏線が小気味いい。

また、主人公の元ガイト(母親、妻)役を演じるメリル・ストリープ、犯人役のケビン・ベーコン共にさすが演技派といった感じで光っている。ストリープは従来のイメージをガラリと変えアクション女優なみの活躍ぶりだ。

ケビン・ベーコンの方は(確かこの作品を契機に次々と大作に起用されるようになった)その風貌と声に存在感が増し見事に演じ切っている。(デビュー作は「13日の金曜日」で惨殺される安っぽい役だった)

激流下りという本線の他に、アメリカ映画お決まりテーマの「夫婦の崩壊」が描かれているが、そのテーマも無理なくまたプロットの一部として消化されサスペンスを盛り上げて行く。この辺にもう少し心理的なやり取りが描かれた方が、より深みを増すのではないだろうか。それに、ラストでケビン・ベーコンが哀願する場面についても、それ以前に一回同じような場面が挿入されていたら、より一層盛り上がるのではないだろうか。

しかし、いずれにせよ良く出来た作品で激流のシーンは迫力がある。一見地味(邦題がいかにも地味)であるが十分楽しめる、こんな作品が作れるアメリカ映画の懐の深さを改めて感じた。
 

shima-s@fka.att.ne.jp
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