file No59
ロスト・チルドレン
1998.9.27
監督,脚本:ジャン・ピエール・ジュネ
脚本:美術:マルク・キャロ
脚本:ジル・アドリアン
音楽:アンジュロ・バダラメンティ 
出演:ロン・パールマン,ジュディット・ビッテ,ドミニク・ピノン,ダニエル・エミルフォルク 

 くやしい!この映画は絶対劇場で見るべきだった。今更ながらビデオで観たのですが,本当にくやしい。何しろ美術が凄まじい。未来とも過去ともつかない不思議な空間がそこにあり,あの「未来世紀ブラジル」を彷彿とさせる。どこか懐かしいのに,どこにもないような世界。人工的で金属質なのに,夕陽みたいに暖かい。とにかく,良い。まずはこの美術を観るだけでも価値がある。間違いない。 

監督はジャン・ピエール・ジェネ。「デリカデッセン」の監督である。最近作は「エイリアン4」だ。デビュー作の「デリカ・・」は,確かに面白い作品であったが,アングラな印象ばかりが残った記憶がある。「エイリアン4」に関してはシリーズ作品にしては頑張った方ではあるが,如何せん物語りに無理があったし,いまいちノレなかった。 

しかーし,本作に関しては素晴らしいの一言。摩訶不思議な亜空間を作り上げることの成功している。素晴らしいのは美術ばかりではない。 

監督のお気に入りともいえる俳優陣(キャスティング含む)もまた見事。超個性的で人工的な造形なのに人間臭いドミニク・ピノン演じるマッド・サイエンスト(クローン6人含む),頭は弱いが純な大男,シャム双生児のオバハン,廃人寸前の座長,一つ目一族,老人化した少年などなど

まさに大人の寓話って感じである。脚本もうまいね。大男ワンと美少女ミシェットの関係も実に丁寧に描かれていて好感がもてました。

ちょっと斜めから観ると,どっかで観たような登場人物ばかり出てくるのだが,チグハグ感は全くない。これも,あの見事な美術の上にあるからこそだと思う。そういう意味からも見事だし,映画ってのは総合芸術だって事を改めて認識させてくれる。音楽も良いしね。

ところで,ワンとミシェットの関係だが,どこか「レオン」を彷彿とさせる。しかし,断然こちらの方がウマイ。鼻につかないしベトつかない。そう感じるのは,二人の直接的描写と云うより,ここでもまた総合的な緻密さに関係があるのだろう。なんたって,監督の見る目がやさしいのである。誰に対しても。こんなんもアリだろうって気にさせるのだ。少なくとも監督はそう思っているはずである。リック・ベッソンとはチト違う点だ。
 

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