file No.35
ピース・メーカー
1998.2.14
監督:ミミ・レダー
脚本:マイケル・シーファー
出演:ジョージ・クルーニー,ニコール・キッドマン,アーミン・ミューラー=スタール

 
「メン・イン・ブラック」の衝撃から立ち直りたい一心で「何か見たい」と思い立ち、見ました「ピース・メーカー」。あんまり期待もしてなくて、話自体もほとんど知らなかった。ただ、足を運んだ劇場でやっている作品の中で、まだ見ていなくて面白そうなものを選んだ。理由はない。「スポーン」は始まったばかりで客が溢れかえっていたし。 

ドリーム・ワークスの第一弾らしい。スピルバーグがからんでるとなると、つまらないかもしれない。 

タイトルバック。何かいやな予感がする。あまりにもありきたりな描写が続く。あれよ、あれよと言う間に本編突入。ちょっとまってくれ、どっから始まったの。不親切だな。映画は始まって5分が勝負とは良くいったもので(えっ、誰もいっていない?)、この不親切さがこの作品の全てを物語っているのだ。 

オープニングにあんな大事件が起こったのに、みんなどこか余裕がある。危機感が感じられない。悪徳将校の人物描写はステレオタイプだし、お約束のオンパレード。それに、いっこうに話が進まない感じがする。ウィーンでお茶を飲んでる場合じゃない。また、ウィーンでのカーチェイスのシーンにも、スピード感は感じられないし緊張感もない。

またしても、肩透かしを食らうのか。脳裏をよぎります。

ところがどっこい。終盤に向かうにつれ尻上がりに良くなります。話の舞台が頻繁に変わりますが、よく混乱せずに纏まっています。ちょっと、舞台移動の時間経過処理等が希薄ですが、かえって展開がスピーディーになりました。ここで、グズグズしちゃうと話がズタスタになる所でした。

そして、ラスト近く爆弾犯との追いかけっこは本当に手に汗を握ります。序盤のもたつきを返上できるくらいの力はあります。

ただ、不親切なのです。この作品のターゲットとなる観客層をどう考えているかにもよりますが、ちょっと考えて欲しい気します。

本編の流れには直接関係ないのですが、あまりにも登場する米国の機関が多くて分かりづらい。なんの機関なのか分からない。まっ、話のながれで分かりますがね。

それともう一つ。これは重要なことなんですが、旧ユーゴスラビアの情勢や内戦へのアメリカの関与なんかが、ちゃんと描かれていません。知っている人は知っているとは思いますが、あまりにも不親切です。

このことは、犯人への感情移入を不可能にします。只単に、爆弾を奪ったのが凶悪テロリストではないのですから。これでは、この映画が訴えたかったものが十分に伝わりません。
 


ちなみに、旧ユーゴ関連作品の紹介。「アンダーグランド」「ビフォア・ザ・レイン」など


 


ソ連が解体してから、ハリウッドにおける「悪者」が不在になったことで、このところその代役を「宇宙人」がやっています。

しかし、今回の悪者は「戦争」であり「核」であったりする訳なのに、苦肉の策で旧ユーゴなんかを引き摺り込んだ責任はちゃんと取るべきでしょう。
 

shima-s@fka.att.ne.jp
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